140文字お題１～５
• 01：四十五秒以内の逢瀬
• 02：色気のない誘い文句
• 03：反則だらけ
• 04：愛してはいるんだけど
• 05：ふたりぼっち
140文字お題６～10
• 06：惚れ直した？
• 07：二人だけの王様ゲーム
• 08：僕は一生、恋をしない。
• 09：なんて身勝手な願い
• 10：運命という罠
140文字お題11～15
• 11：香水
• 12：憎ませてもくれない
• 13：寄るな、色男
• 14：砂糖菓子のように甘く
• 15：週七日制
140文字お題16～20
• 16：出来るなら苦労はしない
• 17：身勝手な論理
• 18：サービストーク
• 19：よくもそんな恥ずかしい台詞を
• 20：Marry me？
140文字お題21～25
• 21：どこまでも行くよ
• 22：ただし、ご注意を。
• 23：空腹に効くクスリってありますか
• 24：お腹いっぱい君をください
• 25：時間よ止まれ
140文字お題26～31
• 26：逃げるものは追うしかない
• 27：優しくしないで
• 28：頬に伝う雫
• 29：君の傍
• 30：大人しく降参して
• 31：痛いの痛いのとんでいけ

06：惚れ直した？

関東一の忍び、と呼ばれる小太郎はその名に違わぬ最強の忍びだと思う。今も奇襲で簡単に拠点を制圧してみせた。大将だけを討ち取られた敵方は戦意を喪失し、被害も最小限だった。こいつが味方で良かったと心底思う。
「鮮やかなもんだな」
「…惚れ直したか？」
「直す暇もねぇくらい惚れてるよ」

07：二人だけの王様ゲーム

「なんでも命令していいぜ、王様」
引いた棒の先が赤い。当たりだ。氏康の話に出て来た座興について尋ねたところ王様ゲームなるものをする事になった。
「もっと人数が居りゃあ一番が二番に○○しろとか命令出来るんだ」
なんという恐ろしい遊びだろうか。
「氏康、明日定年退職せよ」
「どうしてそうなる」

08：僕は一生、恋をしない。

小太郎に抱きしめられていると安心する。守り、守られる。自分を預けることの出来る相手に寄せる信頼に満たされる。
昔、オバケさんに抱きしめられていた頃はそうじゃなかった。いつも胸が苦しかった。強さへの憧れ、大人への憧れ、追いつけないもどかしさ。
あの日々は今も眩しくて、そして切ない。

09：なんて身勝手な願い

北条の柱であった氏康が倒れ、かろうじて一命を取り留めた時、その再起を誰もが絶望視した。倒れた原因はおそらく脳内にある。意識を取り戻したとしても中風の症状を患うはずだ。
だが握った手は温かだった。やがて目を覚ました時に氏康が絶望すると分かっていても…。
「生きよ、氏康」
我は嬉しかった。

10：運命という罠

人の死を沢山見てきた。戦で、病で、事故で。いずれにせよ人は必ず死ぬ。それを悲しいとは思わない。死なぬ人など人ではない。人は必ず死ぬもの。それが正しい人の在り方であり運命だ。そんな事はとうに分かっているのに。
「今更、震えるというのか。我が」
一人の男が倒れたと報せを受けたそれだけで。