140文字お題１～５
• 01：夢だったらよかったのに
• 02：ありふれた日常の中の幸せ
• 03：最後の言葉
• 04：大人になって、それからどうするの
• 05：新婚ごっこ
140文字お題６～10
• 06：自惚れないで
• 07：一行の空白
• 08：箝口令
• 09：神様なんていない
• 10：絶対絶命
140文字お題11～15
• 11：嘘、だったりして
• 12：手だけつないで
• 13：最大級の口説き文句
• 14：世界で一つだけの願い事
• 15：目を閉じて、三秒
140文字お題16～20
• 16：正直に申し上げます
• 17：アンビバレンス
• 18：届かない本当
• 19：優先順位
• 20：幸せになってよ
140文字お題21～25
• 21：誰も欲しくない
• 22：若いときには無茶をしとけ
• 23：きっとそれで正解
• 24：それは寒い夜だった。
• 25：わかりやすいけれど、わかりにくい
140文字お題26～31
• 26：夢だけの世界
• 27：隣の人
• 28：愛してる、って言ったら満足？
• 29：誰にも渡さない
• 30：本物と偽物
• 31：物仕掛けと色仕掛け

26：夢だけの世界

小田原が攻められる時、氏康が引かないことは分かっていた。もし我が逃げようと手を差し伸べたところで取りはしない。氏康はその時に死ぬ。その先も我らが共にあることはない。ずっと、そう視えていた。
「小太郎、どうした？大阪はもうすぐだぞ」
今、氏康が居る。それは夢だけで見ていた情景だった。

27：隣の人

※現パロ
列車の振動と足元の温風が猛烈な眠気を誘う。ここの所、会社から帰る電車ではいつも船を漕いでいた。体が傾き隣の座席の人間に迷惑をかけることもあった。それでも疲れた体は空席に吸い寄せられてしまう。そして今日も。
「あ…失礼」
「よく眠れたか？」
ここの所、目が覚めると同じ男が隣に座っている。

28：愛してる、って言ったら満足？

「うぬがこの様な真似をするとはな」
「失望したか？」
小太郎の上に跨り鎖帷子を捲る。どうしても確かめたい事があった。その為に自分を餌に布団に押し倒した。
「要らないならそう言えよ。それとも、愛していると言ったら満足か？」
「…愚かな子犬よ」
この小太郎がオバケさんであるのか、俺は知りたい。

29：誰にも渡さない

1571年、氏康は病死した。あの日から我は北条を離れ、北条軍は烏合の衆などと蔑まれていた…筈だった。
「氏康殿は風魔の元へ！」
捻じ曲げられた歴史と共に寿春城へやって来た氏康は相も変わらず周りの者に愛され生きていた。不意に思う。死ねばいいのに、と。
「どうする氏康？炎が迫っているぞ？」

※その後オマケ
「いい加減顔見せろや」
懐かしい声、怒った顔。氏康を見た途端、一瞬抱いた殺意は吹き飛んでいた。
（公式台詞です）
「臆病な氏康が心配になってな」デレ。
「まぁしっかり見守っててくれや」デレ。

30：本物と偽物

唐突に押し倒された時、すぐに気がついた。
「抵抗せぬのだな」
「されてぇか？」
ニヤリと笑って引き寄せる。腕の動きだけは注視する必要があった。その片腕が体を離れた瞬間、俺は小太郎に声をかける。
「なぁ？」
即座に腕を掴み、捻り上げて組み伏せた。
「てめぇ、小太郎に化けるには力不足だぜ？」

※その後オマケ
「なんで俺がてめぇと寝てるなんて話が漏れてる」
「さてな。我は間者が苦無に手を伸ばさずにいたら、うぬがどこまで許していたのか気になる」
「知るか！！」怒怒怒。

31：物仕掛けと色仕掛け

「と、言う訳でな…武田まで使いに行ってくれねぇか」
「うぬのその様な私用で風魔は動かぬ」
あまり武田を好いていないらしい小太郎は折れる様子がなかった。
「特別報酬を出す」
「要らぬ」
「お前にしか頼めないんだ」
「知らぬ」
頑として譲らない。
「戻ってきたら何でもしてやる」
「聞こうか」
「おい！」