140文字お題１～５
• 01：最初から最後まで
• 02：それ以上は許さない
• 03：あなたと一緒にいたいんだもん
• 04：逃がしはしない
• 05：貴方の心臓が欲しい
140文字お題６～10
• 06：幸せにするよ
• 07：愛してみろよ
• 08：しゃらっぷ、きすみー！
• 09：ハッピーエンドの来ない悲恋こそ美しい
• 10：だいたいそんなかんじ
140文字お題11～15
• 11：好きにならないはずがない
• 12：いつもの癖
• 13：君という名の
• 14：足して割って、ちょうど
• 15：痛い
140文字お題16～20
• 16：忘れられた指輪
• 17：甘やかせる権利
• 18：残された時間
• 19：頑なに拒む両手
• 20：もう一度、恋をしよう
140文字お題21～25
• 21：境界線の引き方
• 22：50/50
• 23：例外的に
• 24：だいたいあいつのせい
• 25：もしも魔法が使えたならば
140文字お題26～31
• 26：オフレコ
• 27：目を閉じれば
• 28：全部全部、君のせい
• 29：どうにかなってしまいそう
• 30：約束破り
• 31：指切り

01:最初から最後まで

「子犬」と声を掛けられ幼い氏康は緊張で詰めていた息を吐き出した。いつもの様に頭を撫でられ、見上げると愉快そうに自分を見ている小太郎と目が合う。
「最初から最後まで声をあげなかったな。えらいえらい」
「…オバケさんは意地悪だね」
遊びに連れて行ってくれた先がお化け屋敷だなんて酷いよ。

02：それ以上は許さない

「おい、それ以上は許さねぇぞ」
体勢の不利さを感じながら、背中に乗り上げている大男を睨みつける。
「許して貰おうなどと思っておらぬ」
「てめぇ、絶対にだぞ！？」
「クク…」
不敵な笑いが聞こえた後、耳元で囁かれた。
「氏康、我の心配をせずとも良い」
這わされる手に結局折れるのは自分の方。

03：あなたと一緒にいたいんだもん

「オバケさーん、待ってよ」
子犬が走ってくる。我を恐れていた以前の様子は微塵もなく、いつからか我の後を追いかけてくる様になった。
「もう行っちゃうの？」
「まだ何か用か」
「そうじゃないけど…」
子犬はいつもの様に、「あ」とか「う」とか口籠った。
「…オバケさんと一緒にいたいんだもん」
「！」

04：逃がしはしない

全てが混沌としているオロチの世界。死んだはずの男が軍を率いて戦っている時間の狂った世界。氏康が居る。死んだはずの氏康が確かに存在している。そう思うと笑いがこみ上げた。
「…それならば、我はうぬの為にあの城を戴くとしようか。待っているぞ、氏康。……逃がしはせぬ」
寿春攻略戦。

05：貴方の心臓が欲しい

この男の心が欲しい。時折そう思うことがある。多分もう、心も、体でさえも預けられていて今更望む事ではないのだろうが。
「ん？なんか俺の顔についてるか？」
「いや」
「変なオバケさんだな。んな物欲しそうな顔して見るんじゃねぇよ」
コツンと叩かれる。うぬが見ている我はいつの我であろうな、氏康。