140文字お題１～５
• 01：最初から最後まで
• 02：それ以上は許さない
• 03：あなたと一緒にいたいんだもん
• 04：逃がしはしない
• 05：貴方の心臓が欲しい
140文字お題６～10
• 06：幸せにするよ
• 07：愛してみろよ
• 08：しゃらっぷ、きすみー！
• 09：ハッピーエンドの来ない悲恋こそ美しい
• 10：だいたいそんなかんじ
140文字お題11～15
• 11：好きにならないはずがない
• 12：いつもの癖
• 13：君という名の
• 14：足して割って、ちょうど
• 15：痛い
140文字お題16～20
• 16：忘れられた指輪
• 17：甘やかせる権利
• 18：残された時間
• 19：頑なに拒む両手
• 20：もう一度、恋をしよう
140文字お題21～25
• 21：境界線の引き方
• 22：50/50
• 23：例外的に
• 24：だいたいあいつのせい
• 25：もしも魔法が使えたならば
140文字お題26～31
• 26：オフレコ
• 27：目を閉じれば
• 28：全部全部、君のせい
• 29：どうにかなってしまいそう
• 30：約束破り
• 31：指切り

21:境界線の引き方

「どうして無茶しやがるんだ！」
偵察先で、ほんの少し下手をうった。そして今、氏康に怒鳴られている。
「もう我慢ならねぇ」
氏康は一本の長い紐で我の周りを囲った。
「こっちに入ってくんなよ！」
「入るも何も、これでは出られぬが」
「仕置きだ。…其処に居ろ」
なんと甘い仕置きもあったものよ。

22：50/50

「上手くいくと思うか？」
戦況の描かれた地形図を見ながら氏康が意見を求めてくる。
「戦力的には半々という所か」
「微妙だな」
「うぬの好きにすればよい。成功する率が半分しかないと思うのなら我がそれ以上に引き上げてやろう」
「…ったく、楽しそうに言うんじゃねぇよ。お前が味方で、よかったぜ」

23：例外的に

誰も入ってくるな。そう家臣達に言い残し書院に篭った。しかし半日以上が過ぎても答えは出ない。
「氏康、晩飯だぞ」
「おい、誰も入るなって言っただろうが」
「我もそう聞いていたが、うぬの家臣らが風魔は例外だ、持って行けと」
言って小太郎は握り飯を差し出してきた。
「例外ってなんだよ」
「さてな」

24：だいたいあいつのせい

夜中に目が覚めた。夏の夜でもないのに何だか熱っぽい。掛け布団を押し退け、体を空気に晒すとひんやりとした温度差を感じた。
肌が少し汗ばんでいるのは、おかしな夢を見たせいだろうか。…そうに決まっている。「氏康」と囁いてくる声を思い出すだけで体が震えた。
「俺ももう、いい歳なんだがな」

25：もしも魔法が使えたならば

「大丈夫か、子犬」
振り返ったオバケさんに見下ろされているのが顔を上げずとも分かった。
「うぬは何もない所で突然転ぶのだな」
恥ずかしい。オバケさんを見上げたまま歩いていたせいとも言えずに唇を噛んでいると
「痛いの痛いの飛んでゆけ」
今度は頭を撫でられた。
「まじないだ」
…消えてしまいたい。