140文字お題１～５
• 01：最初から最後まで
• 02：それ以上は許さない
• 03：あなたと一緒にいたいんだもん
• 04：逃がしはしない
• 05：貴方の心臓が欲しい
140文字お題６～10
• 06：幸せにするよ
• 07：愛してみろよ
• 08：しゃらっぷ、きすみー！
• 09：ハッピーエンドの来ない悲恋こそ美しい
• 10：だいたいそんなかんじ
140文字お題11～15
• 11：好きにならないはずがない
• 12：いつもの癖
• 13：君という名の
• 14：足して割って、ちょうど
• 15：痛い
140文字お題16～20
• 16：忘れられた指輪
• 17：甘やかせる権利
• 18：残された時間
• 19：頑なに拒む両手
• 20：もう一度、恋をしよう
140文字お題21～25
• 21：境界線の引き方
• 22：50/50
• 23：例外的に
• 24：だいたいあいつのせい
• 25：もしも魔法が使えたならば
140文字お題26～31
• 26：オフレコ
• 27：目を閉じれば
• 28：全部全部、君のせい
• 29：どうにかなってしまいそう
• 30：約束破り
• 31：指切り

16:忘れられた指輪

※現パロ。
「なんだ、これ」
「首輪だ」
「見りゃあ分かる。俺はチョーカー以外で身に着けられる物をくれって言ったはずだぞ」
「チョーカー以外で身に着けられる物であろう？」
「まさか俺に着けろって言ってんのか！？」
「うぬは我の可愛い子犬ゆえ…」
「ちょっ…お前それ持って迫ってくんな！」アーッ！

17：甘やかせる権利

戦があけた夜。疲れている筈なのに眠る気にはなれず、ぼんやりと月を見ていた。
「氏康、まだ寝ないのか？」
床を叩く音に振り返ると小太郎が寝床に転がっている。
「おいで」
「珍しいな。寝ていく気か？」
「少々疲れたのでな。枕になれ」
「仕方ねぇな。甘やかしてやるよ」
甘やかされている、そう思った。

18：残された時間

「小太郎、茶くれ。苦いやつ」
「無理せずとも良いのではないか？」
「もう時間がねぇんだよ」
氏康は皿に盛られた草餅を口に押し込み、早く淹れろと視線で促す。
「重なる時は重なるものよな。うぬの娘らも惨い事をする」
「惨いってお前…ふぐっ」
下腹をつつくと氏康は悟った様だった。
「肥…」
「言うな」

19：頑なに拒む両手

風魔の頭領は代々「小太郎」という名を襲名する。一部の者だけが知る代替わりという継承は、初代から我に至るまで密やかに行われてきた。誰にも気取られることなく小太郎は小太郎であり続ける、筈だった。
「誰だ、お前…オバケ…さん？…違う、来るな！」
まだ若かった氏康が夢うつつに我を拒むまでは。

20：もう一度、恋をしよう

オバケさんが消えてしまった。この小太郎は自分の知る小太郎ではない。初めはそう思った。姿かたちは同じ。けれど何かが違う。だが何処かオバケさんの気配が感じられもするのだ。
「オバケさんは…オバケさん、だよね」
「我は風魔小太郎。うぬの忍びだ」
否定も肯定もない。それが答えなのだと思った。