140文字お題１～５
• 01：僕の居場所
• 02：長く一緒にいた影響
• 03：世界の終わりに
• 04：共犯者の笑み
• 05：三時の雨宿り
140文字お題６～10
• 06：唯一の
• 07：君とならできる
• 08：上手な甘やかし方
• 09：この、リア充が
• 10：図書室の猫
140文字お題11～15
• 11：人生で一番
• 12：善意の裏返し
• 13：ご機嫌取りも楽しみのひとつ
• 14：多分上手く笑えていない。
• 15：言うと思った
140文字お題16～20
• 16：君の最期に
• 17：ずるい人
• 18：愛される条件
• 19：おいていかないで
• 20：おさえた首元
140文字お題21～25
• 21：見ないふり、見えないふり
• 22：美しい終わり方
• 23：自分のモノには名前を書きましょう。
• 24：自分だけ知ってればいい
• 25：No thank you
140文字お題26～31
• 26：幸せにはできないけれど
• 27：いえない我儘
• 28：一番厄介な存在
• 29：きっと大丈夫
• 30：受け止めてくれるのはあなただけ
• 31：見えないサイン

01:僕の居場所

鉄砲の音で気絶したあの頃、僕の居場所は何処にもなかった。この城に居る誰もが、うつけな僕を笑っている。そんな気がして生きた心地がしない。
「それで、逃げ出したいのか？」
「そうじゃないけど…何処にも居場所が無い様な気がして」
「…貸してやろう」
引き寄せられて倒れこんだ膝の上。
「満足か？」

02：長く一緒にいた影響

「次の戦、うぬが囮となって敵を陽動する策だそうだな」
「あぁ。ま、軍議じゃ大反対されたがよ。敵さん撹乱させるには有効な手だからな。なんだ、てめぇも反対か？」
「いや、面白そうだ」
「だろう？奴等心配しすぎなんだよ」
「クク、だが氏康…」
「要らぬ勇気なら持っちゃいねぇよ、オバケさん？」

03：世界の終わりに

「何とかの予言ってやつじゃあ、今日は世界終わりの日なんだとよ」
「ほぅ？それでうぬはどうするのだ」
「どうもしねぇな。いつも通りだよ」
氏康は煙管に火を入れ、ふぅっと煙を吐き出した。
「何かやれる事があるって訳じゃねぇし」
「我を消せば世界は救われる」
「…おい、そりゃ本当に終わりの日だぜ」

04：共犯者の笑み

交渉に応じない相手を引きずり出す方法、と言われ口にした策を氏康は気に入った様だった。
「よくもまぁそんな奇策思いつくもんだ」
「忍びなのでな」
「忍びが全員思いつく策じゃ見透かされちまうだろうが。にしても、こりゃあ面白くなってきたな」
「子犬も悪い顔が出来る様になったものよ」
「うるせえ」

05：三時の雨宿り

ポタ、と垂れた雫に目が覚めた。眠りから引き戻されたばかりの視界に見慣れた顔がぼんやり映る。小太郎はずぶ濡れだった。その所為か一瞬、小太郎が小太郎ではない様な既視感を覚えた。
「すまぬ」
「待て！」
立ち去ろうとした体を夢中で引き寄せる。
「どうした」
言葉が出ない。
「雨宿り、させて貰おう」